フルタイムで働きながら、子どもの教育もしっかりサポートしたい。
でも、税理士になる夢も諦められない…
毎日、仕事、家庭、そして自身の勉強という3つのタスクに追われ、時間がいくらあっても足りないと感じている方も多いのではないでしょうか。
この無謀とも思える挑戦は、本当に可能なのでしょうか。

可能です
こんにちは、税理士の岡崎です。実は私も、公務員としてフルタイムで働き、長男の中学受験(SAPIX)をサポートしながら、この険しい道を乗り越えてきました。
この記事では、同じように奮闘されている方々へ、私のリアルな経験に基づいた「時間術」「家族との向き合い方」「学習のコツ」をご紹介します。
「仕事・家庭・勉強」3つのバランスをどう取るか?
先日、同じように頑張る方の体験談に触れる機会があり、当時の自分と重なる部分の多さに、思わず昔のことを思い出しました。
特に、夫婦共働きで長男のSAPIXのサポートをしていた時期は、時間のやりくりが本当に大変でした。
特に小学6年生の頃は、平日休日を問わず、中学受験が最優先。
お子さんの特性にもよりますが、中学受験における親のサポートは、決して欠かせないものです。
そんな中で、どうやって自分の勉強時間を確保し、家族との関係を保ったのか。私の試行錯誤の道のりをお話しします。
学習時間の作り方:「夜時間」と「スキマ時間」の徹底活用
私は朝が苦手だったので、主な勉強時間は、家族が寝静まった後の夜21:30頃から2時間程度と決めていました。
もちろん、体は正直なもので、眠い時は無理せず寝てしまう日もありましたよ…。
そして、もう一つの柱が「スキマ時間」の活用です。
- 通勤電車の中: 暗記物に目を通す時間に。
- 犬の散歩中: 動画の復習や、頭の中で理論を反復練習。
- 昼休み: 会計アプリで仕訳の復習を。
こうした細切れの時間をいかに活用できるかが、トータルの学習時間を大きく左右します。
ついスマートフォンで関係ない情報を見てしまうことも多々ありましたが(笑)、意識的に勉強に繋げることが重要です。
家族との葛藤と協力:ぶつかり合いながら見つけた最適解
この両立生活で、最も難しく、そして最も大切だったのが家族との関係です。
小学4〜5年生の頃は、主に妻がSAPIXの対応をしてくれていましたが、その負担は計り知れないものでした。
私も自分の勉強を優先しがちな時期がありました。
例えば、マンスリーテストの直前、妻と長男が夜遅くまで必死に勉強しているすぐ隣で、私が自分の税法の勉強に没頭してしまい、険悪な雰囲気になったことも一度や二度ではありません。
その一方、意識的に役割分担をすることで、協力体制を築いていきました。
休日は、妻と長男が勉強に集中できるよう、私が下の子2人を公園や児童館に連れ出す。
そうすることで、妻は長男のサポートに専念でき、私も「家族のために時間を使った」という納得感を持って、夜の勉強に向かうことができました。
完璧な両立はありません。
ぶつかり合い、話し合いながら、それぞれの家庭に合った協力の形を見つけていく。そのプロセスそのものが、挑戦を乗り越える力になったと感じています。
有給休暇の戦略的活用:最後の追い込みは「集中投資」で
まとまった勉強時間を確保するために、有給休暇はまさに「最終兵器」でした。
取得した日は、朝から夕方まで図書館にこもり、誰にも邪魔されない環境で一日中勉強に集中。
この「集中投資」が、知識の定着に絶大な効果を発揮しました。
会計事務所に勤務しながら合格を目指す方も、試験直前期は1週間ほどまとめて休暇を取るケースが多いと聞きます。私も直前期に3日間、試験までにトータルで10日ほど有給休暇を取得し、勉強時間に充てました。
仕事の繁忙期などを考慮し、計画的に休暇を取得することも、合格戦略の重要な一部です。
「簿記論」学習の壁を乗り越えるには?
働きながらの勉強では、各科目の効率的な学習法を見つけることも重要です。特に、会計科目の基礎となる「簿記論」で悩まれている方は多いのではないでしょうか。
私の学習遍歴と反省点(独学で1発合格)
意外に思われるかもしれませんが、私の税理士への道は、日商簿記1級に苦戦している最中に、試しに受けた税理士試験の「簿記論」「財務諸表論」に運良く合格できたことから始まりました。
複雑に見える取引が、借方と貸方にパズルのようにピタッとハマっていく「仕訳」の感覚が、私にはとても面白く感じられたのです。
当初は独学です。
主な教材は以下です
- TACの市販教材と過去問(10年分くらい)。
- 例えば、税理士受験シリーズ
- 税理士 財務諸表論 理論答案の書き方
しかし、今振り返ると、通信講座などを活用してプロの指導を受けた方が、結果的に時間的コストは低かったかもしれないと感じています。
独学は自分のペースで進められる良さがありますが、通信講座には、進捗を客観的に把握できたり、最新の試験傾向に沿った効率的な学習ができたりするメリットがあります。



私が、昔に戻れるならTACの通信講座を使っていると思います。
簿記論で意識したこと:「瞬発力」を鍛える
私が簿記論の学習で、特に意識していたのは「仕訳の瞬発力」です。
問題文を読んで「うーん…」と考えてから仕訳を切るのではなく、文章を目で追いながら、息をするようにスラスラと仕訳が書けるレベルを目指しました。
この瞬発力は、制限時間内に膨大な量の問題を解かなければならない簿記論において、絶対的な武器になります。
瞬発力を鍛えるには、とにかく反復練習あるのみです。
同じ問題を何度も解き、指が仕訳を覚えるくらいまで体に染み込ませることが、合格への一番の近道だと信じています。
税法理論の暗記地獄のコツ「スパイラル暗記術」
税理士試験の最大の壁、それは間違いなく「理論暗記」です。
私がこの暗記地獄を乗り越えるために編み出したのが、
理論マスターを2冊購入する
ことを前提とした、独自の「スパイラル暗記術」でした。
1冊目:1秒を削り出す「理論マスター物理カスタム術」
まず、紙のテキストとして使う1冊目。 しかし、みなさんはそれをそのまま使っていませんか?
それでは甘い。1秒でも無駄を省く必要があります。
- 表紙や広告ページは破り捨てる
- 物理的に不要なページは即座に排除します。私の理論マスターは、表紙がもう「目次」でした。これで理論に到達するまでの数秒を短縮できます。
- 講師が「不要」と言ったページも破り捨てる
- 「昨年出題されたから今年は可能性が低い」といったテーマは、迷わず破り捨てます。ノイズは徹底的に排除。
- 両面テープでページをくっつける
- ページを破り捨てたことで間に空白ができた場合は、両面テープで必要なページ同士をくっつけます。これにより、ページをめくる動作すらスムーズになります。
多少汚くはなりますが、関係ありません。合格のためです。こうして極限まで無駄をなくした、自分だけの理論マスターが完成します。
2冊目:全理論をスマホに叩き込む「自炊術」
次に、2冊目の理論マスターを使って、いつでもどこでも復習できる「デジタル版」を作ります。
- 理論マスターを裁断: 思い切ってテキストをバラバラにします。
- 全ページスキャン: スキャナーで全ページをデータ化します。
- ここにもコツが!: スキャンする際、ページの余白を切り取り、文字が画面ギリギリになるように編集します。スマホのような小さい画面では、少しでも文字が大きい方が圧倒的に見やすいからです。
- スマホに全保存: これで、いつでもどこでも理論マスターが読める「最強の暗記ツール」が完成です。
実践編:「思い出す→確認」を執念で繰り返す
2つの最強ツールができたところで、いよいよ「スパイラル」の実践です。
- 通勤電車や歩いているとき…
- まず、何も見ずに「理論文章を思い出す」努力をする。
- 詰まったら、すかさずスマホや本で確認する。
- 確認したら、もう一度ブツブツと声に出して復習する。
- 寝る前に…
- 物理カスタムした理論マスターを読む。
- 目を閉じながら暗唱してみる。
- 分からなければ、すぐにスマホで確認。
この繰り返しです。
特に試験1ヶ月前からは、この復習の強度を一気に高め、脳に理論を刷り込んでいきました。
応用編:Quizletで「目次」からスラスラと言えるように
理論暗記のゴールは、ただ覚えることではありません。
試験問題で問われたテーマに対し、瞬時に該当理論の項目を挙げられる状態にすることです。
そのためにフル活用したのが「Quizlet」というスマホアプリです。
- 問題カード作成: 理論マスターの「目次(テーマ名)」を問題として入力します。
- 解答カード作成: 「自炊」した理論マスターの該当ページを画像(jpgなど)に変換し、解答として貼り付けます。
これを繰り返すことで、ランダムで「〇〇についての理論」と問われた瞬間に、頭の中にテキストのページそのものが浮かび上がり、スラスラと項目を書き出せるようになります。
覚えたつもりでも、ランダムにテーマが出てくると思い出せないものです。
ランダムに出てきたテーマから内容を答えられるようにするのがコツです。
【まとめ】
税理士試験は、長いトンネルをひたすら歩き続けるような、孤独で過酷な道のりです。
そこに、仕事、子育てという大きな責任が加われば、その大変さは想像を絶するものになるでしょう。
しかし、今回お話ししたように、時間の使い方を工夫し、家族と協力し、自分に合った学習法を確立することで、道は必ず開けます。
この挑戦は、あなた一人だけのものではありません。
家族というチームで乗り越える大きなプロジェクトです。どうか、ご自身の頑張りを誇りに思い、そして、支えてくれる家族への感謝を忘れずに、一歩一歩進んでいってください。応援しています。
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