荒川区の税理士、岡崎友彦です。
個人事業主や法人経営者の皆様から、最も頻繁に受けるご相談の一つが「節税のために小規模企業共済をやるべきか、それとも話題のNISAで運用すべきか?」という永遠のテーマです。
結論から申し上げます。
「迷うなら、どちらも50万円ずつ(半分ずつ)やればいいじゃない!」というのが私の意見です。
今回は、所得500万円・年間投資予算100万円のケースを想定し、なぜ「ハイブリッド型」がおすすめなのか、具体的な試算と過去の相場実績、そして私自身のリアルな投資事情を交えて解説します。
1. 【単年試算】所得500万円・予算100万円の場合
小規模企業共済の最大のメリットは「掛金が全額所得控除になる(=確実に税金が減る)」ことです。一方、NISAのメリットは「運用益が非課税で複利で増える」ことです。
以下の条件で、1年間の「税負担の軽減額」と「運用による増加額」を比較してみましょう。
- 前提条件(仮説):
- 所得:500万円(所得税・住民税の限界税率を約30%と仮定)
- 年間投資予算:100万円
- NISAの想定利回り:年利10%
【表:年間100万円の投資配分による効果の比較(1年目)】
| 投資配分 | 初年度の節税額(確実なリターン) | NISAでの運用益 | トータルでの実質プラス |
| 全額NISA(100万円) | 0円 | +100,000円 | 100,000円 |
| 共済50万 + NISA50万 | +150,000円 | +50,000円 | 200,000円 |
※小規模企業共済の掛金上限は月額7万円(年間84万円)のため、全額共済という極端な選択肢は除外しています。
「共済50万円+NISA50万円」のハイブリッド型にした場合、初年度は「確実な節税(15万円)」と「投資による成長(5万円)」の両取りができ、手元に残るお金の効率が非常に良くなります。
2. 【10年後の未来予想図】この条件を10年間続けたらどうなる?
では、この年間100万円の投資と節税を「10年間」コツコツと継続した場合、将来の資産額にどのような差が生まれるのでしょうか。
(※小規模企業共済の利息等は考慮せず「元本のみ」とし、NISAは毎年10%の複利で運用できたと仮定して試算します)
以下のグラフをご覧ください。
| 経過年数 | 全額NISA(万円) | 半々投資(万円) |
|---|---|---|
| 1年目 | 100 | 115 |
| 2年目 | 210 | 235 |
| 3年目 | 331 | 361 |
| 4年目 | 464 | 492 |
| 5年目 | 611 | 630 |
| 6年目 | 772 | 776 |
| 7年目 | 949 | 929 |
| 8年目 | 1,144 | 1,092 |
| 9年目 | 1,358 | 1,264 |
| 10年目 | 1,594 | 1,447 |
グラフから読み解く「数字の罠」と「確実な手元資金」
グラフを見ると、赤い線の「全額NISA」が青い線の「半々投資」を上回って勢いよく伸びていくのがわかります。10年目には約146万円の差が開きます。
「なんだ、結局NISAに全額突っ込んだほうがお得じゃないか」と思われるかもしれません。しかし、ここには投資特有の数字の罠があります。
全額NISAの最終資産約1,593万円のうち、約593万円は「相場が良かったから得られた不確実な利益」です。もし10年後にリーマンショックのような大暴落が起きて株価が半分になれば、この利益は一瞬で吹き飛び、元本割れするリスクを常にはらんでいます。
一方、半々投資のトータル約1,447万円のうち、「共済元本500万円」と「累計節税額150万円(計650万円)」は、相場がどうなろうと絶対に減ることのない「確実な手元資金」です。
相場が好調なときはNISAでしっかり増やしつつ、暴落が起きても節税と共済でガッチリ資産を守る。この「攻めと守りのバランス」こそが、経営者の資産形成において最も安心感をもたらしてくれます。
3. S&P500の過去実績から見る「複利の力」
上記の試算ではNISAの利回りを10%と仮定しましたが、「本当にそんなに増えるの?」と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。
参考までに、代表的な株価指数である「S&P500」の過去の平均利回り実績をご紹介します。
- 過去10年間:約10%〜12%(IT大手の著しい成長が牽引)
- 過去20年間:約7%〜8%(リーマンショックなどの暴落期を含む)
- 過去30年間:約9%〜10%(長期にわたる持続的成長)
投資に絶対はありませんが、過去の歴史を振り返ると、長期で保有し続けることで年利7〜10%前後の成長は十分に現実的なラインです。
4. 税理士 岡崎のリアルな投資状況と「少額共済」の裏ワザ
さて、ここまで「半分ずつがおすすめ!」と熱く語ってきましたが、ここで私自身のリアルな現在の投資状況を白状します。
- NISA:月額10万円(SBI証券)
- クレジットカード:三井住友カード(NL)ゴールドでクレカ積立
- 銘柄:たわらノーロード 先進国株式
- 小規模企業共済:月額1万円
……お気づきでしょうか。全く半分ずつではありません(笑)
これには理由があります。私の場合、クレカ積立のポイント還元(三井住友NLゴールド)の恩恵を最大限に受けるため、NISAの積立枠に月10万円をフルベットしています。銘柄はS&P500ではなく、より広く世界に分散する「先進国株式」を選択し、流動性の高いNISAへ資金を大きく寄せています。
小規模企業共済を「月1万円」にしている明確な理由
では、なぜ小規模企業共済は月額1万円という少額にしているのか。これは資金不足だからではなく、「退職所得控除の期間を長く取るため」という明確な税務戦略があるからです。
小規模企業共済を将来解約して受け取る際、そのお金は税金が大幅に優遇される「退職所得」として扱われます。この退職所得の非課税枠(退職所得控除)は、掛金の多寡ではなく「加入していた期間(年数)」に比例して大きくなる仕組みです。
(※加入20年までは1年につき40万円、21年目以降は1年につき70万円ずつ非課税枠が増えます)。
つまり、掛金が少額であっても「とにかく早く始めて長く加入している」だけで、将来受け取る際の非課税枠が数百万円、数千万円単位でどんどん育っていくのです。後から掛金を増額することはいつでもできるため、少額でも一日も早く加入して「控除の時計の針を進めておくこと」を強くオススメします。
5. まとめ:あなたに最適なバランスを見つけよう
「言っているセオリーと、やっていることが違うじゃないか!」と突っ込まれそうですが、これこそが資産運用のリアルです。
手元のキャッシュフローの余裕、年齢、クレジットカードのポイント戦略、そしてリスク許容度は、経営者一人ひとりで全く異なります。基本のセオリーとしては「節税と投資のハイブリッド(半々)」を強く推奨しますが、最終的なバランスはお客様の状況に合わせて自由にカスタマイズして良いのです。
当事務所では、マネーフォワードクラウドやTKCシステムを活用し、リアルタイムでの業績把握と資金繰りの見える化をサポートしています。法人のキャッシュフローを正確に把握できれば、「今の自分にとって共済とNISA、どちらにいくら配分するのが最適か」という答えが自然と見えてきます。
事業の最新の税務トピックや経営のヒントについては、定期配信している『1分で読めるメルマガ』でもお伝えしております。
「自分にとって最適な投資・節税の配分が分からない」という方は、ぜひ一度、当事務所までお気軽にお声がけください。それぞれの状況に合わせたベストな最適解を一緒に見つけていきましょう!

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