株の利益で医療費・保険料が上がる?「金融所得の公平な反映」を税理士が徹底解説

荒川区の税理士、岡崎友彦です。

株式投資や投資信託での資産運用が一般的になる中、私たちのシニアライフやお財布事情に直結する非常に重要な法案が動いています。

それが、令和8年6月に公布された「健康保険法等の一部を改正する法律」に含まれる、「後期高齢者医療制度における金融所得の公平な反映」です。

これまで「特定口座(源泉徴収あり)」を選んでいれば高齢期の医療費や保険料には影響しない、とされてきた株の利益や配当金ですが、今後は確定申告をしなくても自動的にカウントされる仕組みへと変わります

今回は、厚生労働省の最新の公式資料を基に、この改正が「いつから」「どのように」私たちの生活へ影響してくるのか、スケジュールを含めて分かりやすく解説します。

参考リンク:厚生労働省:後期高齢者医療制度における金融所得の公平な反映について

目次

なぜ制度が見直されるのか?(現状の不公平)

厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/newpage_00014.html

現在は、上場株式の配当や売却益などの金融所得について、確定申告をするか、それとも「源泉徴収のみ(特定口座)」にして申告しないかを選ぶことができます。これにより、以下のような不公平が生じていました

  • 確定申告をした人:利益が自治体に把握され、医療費の窓口負担が増えたり、保険料が高くなったりする。
  • 確定申告をしない人(源泉徴収のみ):どれだけ多額の株の利益があっても自治体が所得を把握できないため、窓口負担や保険料が上がらない。

同じ収入であるにもかかわらず、申告の有無だけで窓口負担割合や保険料に大きな差が出てしまうため、国はこの「不公平の解消」を目的に制度を改正しました

新しい制度では、金融機関等に対して法定調書(支払いの報告書)をオンライン提出することを義務付け、確定申告の有無にかかわらず、すべての金融所得を保険料の算定や窓口負担割合の判定に公平に反映することになります

いつから始まる?「2〜3年の準備期間」と影響が出るタイミング

「新しい税金や負担はいつから始まるのか」という点が最も気になる部分かと思います。公式資料に示されたスケジュールによると、法律が公布されたからといって、明日からすぐに負担が増えるわけではありません。

国の資料では、以下のようなステップが想定されています。

  • 公布後2〜3年程度(準備期間)
    • 国による「法定調書データベース(仮称)」の構築や、各市町村・広域連合のシステム改修に2年程度の期間がかかると見込まれています。
    • そのため、金融機関等へのオンライン提出義務化が本格的にスタートするのは、法案成立・公布から「2〜3年程度」経った頃になります。
  • 実際に保険料や窓口負担に反映される時期
    • システム改修やデータの連携を経て、最終的に私たちの保険料や医療費の負担区分へ反映され始めるのは、「公布後4〜5年程度」のタイミングとされています。

厚生労働省:健康保険法等の一部を改正する法律(令和8年法律第31号)の概要

2028年中の配当や金融所得は対象になる?

スケジュールを機械的に当てはめると、オンライン提出義務化が始まる時期の取引、つまり2028年(令和10年)頃の金融所得から順次、自治体側へ自動的に把握され始める可能性が高いと考えられます。

医療費や保険料の判定には「前年の所得」が使われるため、実際の負担増として目に見えてくるのはその翌年以降になりますが、実質的なカウントの対象期間としては非常に近い未来の話です。

対象になる人・ならない人(NISAは対象外)

今回の改正は、まず「後期高齢者医療制度(原則75歳以上)」に加入している方が直接の対象となります。

現役の会社員であれば、健康保険料は毎月の給与ベースで計算されるため直接の影響はありませんが、将来リタイアした後のご自身や、現在シニア層である親御さんの負担の重さに大きく関わってきます。

ただし、この制度には非常に重要な「対象外」が存在します。 資料にも明記されている通り、「非課税のNISA口座」で得た売却益や配当金は、今回の見直しの対象外です。

NISA口座内での利益は、いくら膨らんでも将来の医療費や保険料を引き上げる要因には一切なりません。

まとめ:これからの資産運用で経営者・シニア層が取るべき対策

今回の制度改正により、「特定口座(源泉徴収あり)にしておけば社会保険料の面でも安心」というこれまでの常識は通用しなくなります

国によるデータベース構築やシステム改修に「2〜3年程度」の猶予があるとはいえ、数年後には確実に自動把握の仕組みが動き出します。

高齢期における医療費の自己負担(1割〜3割)や保険料の上昇という実質的な負担増を防ぐためには、「NISA口座の枠を最優先で使い切る」という出口を見据えた資産の置き場所戦略が、これまでに増して不可欠となります。

「自分や親の世代に、具体的にどれくらいのタイミングで影響が出そうか詳しく知りたい」

「最新の法案スケジュールを踏まえて、法人の資産運用や個人の投資バランスを見直したい」

当事務所では、目先の税金だけでなく、将来的な社会保険料や医療費の負担までをトータルで見据えた、ご家族ごとの最適なシミュレーションを行っております。

ご不安な点や具体的な対策のご相談がございましたら、いつでもお気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

元・市役所職員の「ひとり税理士」。3児の父。
東京都荒川区在住、東京理科大学大学院修了。
19年間の公務員経験を経て、現在は独立・起業まもない方を中心に、完全オンラインで税務サポートを提供中。

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