荒川区の税理士、岡崎友彦です。
先日、ホテルメトロポリタンにて開催された東京税理士会(第6ブロック)主催の「金融懇話会」に、荒川支部のメンバーとして参加いたしました。
この懇話会は、東京信用保証協会、日本政策金融公庫(池袋・千住・上野・板橋支店)、瀧野川信用金庫、東京信用金庫の支店長や融資審査の責任者の方々と税理士が一堂に会し、「現在の融資審査のポイント」や「中小企業支援のあり方」について直接議論を交わす場です。
今回は、金融機関の最前線にいる担当者の方々から直接伺った「審査のリアルな本音」と、経営者が資金調達で失敗しないための実践的なポイントを共有します。

「赤字だから借りられない」は誤解。最も重視されるのは社長の「語る力」
「今期は赤字になってしまったから、もう融資は受けられないのではないか」と悩む経営者様は少なくありません。
しかし、懇話会の中で日本政策金融公庫の担当者からは「融資先の約3割〜4割は赤字決算の企業であり、赤字だから融資できないということは一切ない」という明確な発言がありました。
では、赤字でも融資が通る会社と、断られてしまう会社の違いはどこにあるのでしょうか。
金融機関が最も重視しているのは、数字そのもの以上に「経営者自身の計数観念と、将来への見通しを語る力(定性面)」です。
- NGなケース:なぜ赤字になったのか原因を把握しておらず、今後の改善策を聞いても曖昧で他人任せになっている。
- 融資が通るケース:「今期は〇〇の要因で一時的に赤字になったが、今後は〇〇の対策を進めることで、これだけの根拠をもって黒字化・返済ができる」と、社長自身が自分の言葉で語れる。
誰かに作ってもらった見栄えだけの計画書ではなく、経営者自身が自社の数字を自分事として捉え、面談でしっかりと対話できることが審査通過の絶対条件となります。
金融機関・保証協会がチェックする「決算書と試算表」の急所
各金融機関および東京信用保証協会からの説明では、財務内容(定量面)における明確なチェックポイントも示されました。
本業のキャッシュフローと「債務償還年数」
金融機関は、表面上の利益だけでなく「実際に借入金を返済できるだけの現金(キャッシュフロー)を生み出しているか」を見ています。
具体的には、借入金から手元の現預金などを差し引いた実質的な負債を、「経常利益+減価償却費」で割った「債務償還年数(何年で借金を返せるか)」が一つの基準となります。
一般の業種であれば、この年数が「10年〜15年以内」に収まっているかどうかが、正常な資金繰りかどうかの目安として見られています。
貸借対照表(B/S)の「代表者貸付金・仮払金」は厳禁
決算書の貸借対照表において、金融機関や信用保証協会が特に厳しい目を向けるのが「代表者(社長)に対する貸付金」や、使途不明の「仮払金」、そして実態に伴わない多額の「現金残高」です。
これらが計上されていると、「会社のお金が私的に流用されているのではないか」「本来計上すべき経費を隠して利益を良く見せているのではないか」という強い疑念を持たれます。
日頃から公私混同をなくし、実態に即したクリーンな決算書を作ることが不可欠です。
③ 「月次試算表」と「資金繰り表」の早期作成
決算書はあくまで「過去の数字」です。
現在の審査では、直近の業績がわかる「月次試算表」と、今後1年間の月ごとの入出金を予測した「資金繰り表」の重要性が繰り返し強調されました。
いつの時期に納税や仕入れで資金が不足するかを事前に把握し、資金がショートする前に余裕をもって融資を申し込むことが、スムーズな審査とスピード実行につながります。
創業・成長期に強い「公庫×信用金庫」のダブル取引戦略
第2部のグループディスカッションでは、複数の金融機関と並行して付き合うメリットについて活発な意見交換が行われました。
近年、法人口座の開設審査は非常に厳格化していますが、まずは創業支援に強い「日本政策金融公庫」で融資を受け、事業の実態と信用を作るというステップが有効です。
公庫の審査を通過して融資を受けているという実績があると、地域の信用金庫にとっても大きな安心材料となり、口座開設やその後の追加融資、日々の本業支援へとスムーズにつながります。
公庫(政府系金融機関)と信用金庫(地域密着の民間金融機関)という「複数のお金の蛇口」を持っておくことは、会社の成長フェーズに応じた柔軟な資金調達やリスク分散において非常に強力な武器になります。
ネットからいきなり申し込む前に「税理士を通じた事前相談」を
現在、融資の申し込みはインターネットから手軽に行えるようになっています。
しかし、ディスカッションの席で多くの税理士・金融機関担当者から上がったのが「準備不足のままネットで申し込み、否決(審査落ち)の履歴を残してしまうリスク」です。
一度申し込んで断られてしまうと、その記録が残り、すぐには再チャレンジできなくなります。
これを防ぐために有効なのが、正式な申し込みを行う前の「税理士を通じた事前相談」です。
懇話会でも、金融機関側から以下のような本音が語られました。
- 「一見のお客様だと『本当に実態があるのか』という入り口の確認から始まるが、信頼できる税理士からの紹介があるだけで安心感が全く違う」
- 「社長の頭の中にあるプランを税理士が数値化し、妥当性を検証したメモが1枚添えられているだけで、金融機関は自信をもって稟議を通しやすくなる」
- 「申し込み前に試算表や計画書をベースに担当者へ事前相談してもらえれば、どの書類を補強すべきか、いくらまでなら可能性があるかを柔軟にすり合わせできる」
また、面談当日に社長一人で説明しきれない細かな数字の背景も、顧問税理士が同席(または税理士事務所での面談を実施)して補足説明を行うことで、金融機関側の理解が一気に深まります。
まとめ:日頃の「月次管理」と「金融機関とのパイプ」が会社を守る
今回の金融懇話会を通じて改めて確信したのは、「融資の成否は、申し込む前の日頃の準備で9割決まる」ということです。
- 毎月の「月次試算表」で自社の数字をリアルタイムに把握する
- 社長自身が自社の強みや改善策を自分の言葉で語れるようにする
- 金融機関と直接顔の見える関係を持った税理士とタッグを組み、事前相談のうえで申し込む
当事務所では、クラウド会計やTKCシステムを活用した迅速な月次試算表の作成・資金繰り予測はもちろん、日本政策金融公庫や地域の信用金庫・信用保証協会とのネットワークを活かした融資サポートを行っております。
「今後の設備投資や運転資金のために融資を検討している」「既存の借入金の借り換えや一本化を相談したい」という経営者様は、ネットの申し込みボタンを押す前に、ぜひ一度当事務所へお声がけください。

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